透析室で働いているけど、日々辞めたいと考えている人はいるかと思います。身体的には楽そうなイメージのある透析室。けど実際辞めたいと思う原因はどこにあるのでしょうか?
正直私自身も、透析室で働いていく中で、何度も「もう辞めたい!」と思うことがありました。
今回は透析室看護師が辞めたいと思う主な原因について、実体験を交えながら上げていきます。
透析看護師を辞めたいと思う原因その1~穿刺が怖い
透析看護師になって、必ずしなければならない業務の一つに「穿刺」があります。穿刺は患者さんの腕に作られた、シャントと呼ばれる血管に、針を刺して透析回路につなげる業務です。
透析は、2~3時間の間に全ての血液をろ過していくので、多くの血流量が必要なので一般的な針よりもかなり太い針を刺します。1度の透析で2本の針を刺さなければいけませんが、残念ながら失敗してしまうことがあります。
患者さんにとって穿刺は苦痛そのものなので、穿刺を失敗してしまったときのいたたまれなさと、患者さんへの申し訳なさなは、毎回慣れることがありません。
私は穿刺が上手なほうではなかったので、毎回患者さんが入室してきて、穿刺の業務に入る時が、苦痛な時間でもありました。患者さんによっては、「あんたにこの間刺された時、すっごく痛かったんだよ。もう来ないでくれよ」なんて言われてしまうこともあります。
「大丈夫よ」と言ってくれる人もいましたが、良い患者さんであればあるほど、「ごめんなさい」という気持ちになっていってしまいましたね。
穿刺は慣れてくれば、それなりにこなしていけるようになります。しかし、たまに全然穿刺が入らなくなってしまうスランプのような時期もありました。
体力的に楽でも精神がすりへっていってしまうので、「穿刺が怖い」と思ってしまうようになると、辞めたい気持ちに傾いていってしまいます。
その2~患者さんとの人間関係トラブル
透析患者さんは、週に2~3回必ず透析に通わなくてはならず、苦痛な時間を過ごしながら治療しています。
そのため、ストレスを感じている患者さんも多いです。そういった理由からか、透析スタッフに辛く当たってくることがあります。私がかかわった患者さんの中で、癖が強いなと感じた人が何人かいました。
私が働いていた時にいた患者さんは、とにかく待てない人でした。1分でもまたしてしまうと、「いつまで待たせるんだ!」と、すごい勢いで怒っていました。
透析室に勤めて感じたのは、ごく普通の患者さんや、いい人が大半ですが、癖のある人の割合が多いなということ。透析室では、いくら指導しても暴飲暴食をやめてくれない患者さんも多いです。
患者さんは一生透析と付き合っていかなければいけないという、苦しみを持ち合わせています。そうした苦しみやストレスからスタッフへあたりが強くなったり、暴飲につながってしまっている人も確かにいます。そういった患者さんと、どうやってうまくやっていけるかがポイントだと思います。
ちなみに、暴言や、高圧的な態度で、周りに迷惑をかけてしまうような患者さんに出くわした場合は、無理に自分ひとりで解決しようとはしませんでした。正直に他のスタッフに、患者さんの対応の仕方について相談しました。
他のスタッフの場合はうまくいくこともあります。合わないな、と感じたら無理に積極的に関わるのではなく、チーム全体で関われる人が関わっていくようにしていけばいいのだと思います。
その3~透析室のスタッフ同士の人間関係トラブル
透析室では、看護師、臨床工学技士などが働いています。特に、臨床工学技士は透析についての知識が豊富です。一般的に透析室では、スタッフ同士の争いやいざこざは比較的少ないほうなのではないかと思います。
それでも、中には、臨床工学技師と看護師が対立してしまうといった事もあるようです。
看護師同士のいざこざが起こることがありますが、透析室は、看護師自体のスタッフの人数が病棟に比べると少ないので、派閥が起きにくく、みんな和気あいあいと仕事をしていることが多いです。
臨床工学技士は、男性が多い職業なので、透析室には男性スタッフが多くなります。男性スタッフが多くなると、女性特有のどろどろとしたいざこざが起きにくいのかもしれません。
その4:ルーチン作業ばかりで飽きてしまった
透析の仕事は、基本的に変わりはありません。患者さんがきたら、体重を測って血圧測定して、穿刺して透析を回します。透析中に体調の変化がないか、バイタルチェックをしながら、みていき、最後は返血して終了となります。
これだけ見ると、毎日代わり映えのない仕事に見えてしまいますよね。やはり病棟に比べると変化に乏しく、「新しいことをやりたい!」と思っている看護師には、物足りなくなってしまうかもしれません。
しかし透析は、奥が深いものなので、知れば知るほど知識が深まっていきます。
透析している人は糖尿病を合併している人が多いので、足のケアも重要。透析中にフットケアなどをして足の清潔を保つことは非常に大切ですよね。また急変なども多く、透析中に血圧低下して心停止を起こすことも少なくありません。
私も透析に勤務している時に、何度か心停止になってしまう患者さんがいました。蘇生もしてDCを使うこともあります。
透析は、患者さんの体調や体重の増え、水分を抜く量などによって急な血液低下を引き起こすことがよくります。また身体に水分が減っていくので心筋梗塞なども起きやすくなります。
透析室スタッフはそうした変化にいち早く気が付かなければなりません。日ごろの患者さんの体調や、血液データなど把握しておくなども看護師の役目です。
毎日ルーチン作業なので、退屈に感じてしまうこともあるかもしれませんが、透析は非常に奥が深いものなので、より深く知っていくことで面白さややりがいを見出せると思います。
辞めたくなっても、もう少し頑張ってみる
透析看護師の辞めたい理由は、
・患者さんとの人間関係
・穿刺などの技術的な問題
が多いのではないかと思います。
患者さんとの関係、スキルで悩んでいるなら・・・
新人看護師も、その2つの問題で悩んでいる人が多かったです。患者さんとの付き合いは難しい場合もあります。そういう時は、なるべく一人で抱え込まずにスタッフや上司に相談してみることをおすすめします。
また穿刺や技術面で辞めたいと思っている場合は、もっと上手になるために経験をこなしていけば解決していく問題です。血管の構造などは患者さんによって異なりますが、上手な人にやり方を聞いたり、技術面をおさらいして行くことで、徐々に解決していきます。
これら2つの問題なら、もう少し踏んばってみてほしいと思います。透析は合併症を患っている患者さんも多いので、透析以外の病気の知識も必要です。何か患者さんに質問されても、答えられるように、自ら勉強していく姿勢も必要だと思います。
職場の人間関係で悩んでいるなら・・・
スタッフ同士の人間関係で悩んでいる場合は、早めに信頼のおける上司に相談することをおすすめします。
それでも解決しない場合は、働きやすい職場に転職する道があります。人間関係が悪い職場で働くことは、精神的にも追い込まれてしまう可能性があるので、私は早めに見切りをつけて転職したほうがいいと思います。
透析をもっと勉強したいが、職場の人間関係に悩む方へ
今回は透析看護師が辞めたくなる原因について説明してきました。透析室は、就業面などでは非常に働きやすい職場です。
しかしその中でもやはり、辞めたいと思うことはあります。辞めたいと思う理由は、なんなのかをまずは明確にしてみましょう。その理由が分かったら、解決できる方法が見つかるかもしれません。
すぐに投げ出してしまう前に、今の職場でできることをやってみましょう。ですが、例えば、いじめに合っていたり、派閥があったり、先輩の当たりが強すぎるなど、人間関係に悩んでいる場合は別です。
人を変えることはできませんし、あなたが今の職場で我慢する必要もありません。幸い、看護師は転職しやすい職業ですから、心機一転、他の透析室で働いてみてください。
ただ、新しい職場を探すときに気を付けて欲しいことがあります。求人広告に載っている表向きの情報だけを信じず、内部情報を調べてください!
実際に働いてみてミスマッチが起きると、せっかく転職したのにまた転職になってしまいますから。そこで活用してほしいのが看護師の転職サイト。
担当者から各病院の内情を聞くことができます。もちろん、ネット上には出回っていないので、職場選びの手助けになります。
【PR】親身な相談:レバウェル看護(旧 看護のお仕事)
「今、職場を辞めたら人手足りなくて迷惑かけるな…」
「同僚から辞めないでねって言われたんだよね」
と思っていませんか?
ハッキリ言いますが、考えるだけ時間のムダです。
もし、病院側があなたに辞めて欲しくないと思っていたら?
あなたが辞めたいと思わないように、労働環境を改善するはずです。
例えば昇給したり、有給休暇を取りやすくしたり....
残念ですが、あなたが職場を辞めても迷惑はかからないってことですよ。
あまり考えすぎずに自分の働きやすい環境を探してください!
少しでも働きやすい職場で、心身共に健康に働いていきたいですよね。自分にあった職場を見つけて、楽しく働いていけるようにしましょう。