看護師の働く場所のなかで、人気があるのが介護施設です。なかでも、老健の求人は見たことがある人も多いと思います。
老健の仕事は、時間に追われずゆったり働けてラクだろうと病院で働く看護師から思われがちです。しかし、老健には病院と違って大変なところもあるんです。安易に転職すると「こんなはずじゃなかった」と後悔することもあります。
そこで今回は、
・老健看護師のツライところ
・辞めたいと思う前に考えてほしいこと
などを紹介します。
目次
介護老人保健施設ってどんなところ?老健看護師の仕事内容
介護老人保健施設(以下、老健)とは、病気や障害などにより自宅で生活することが難しい高齢者が入所する施設で、介護施設のなかでも病院に近い役割があります。
医療やリハビリを受けながら、最終的には在宅復帰を目標に入所します。そのため、3ヶ月ごとに入所判定が行われますが、実際には様々な理由から長期間入所している人もいます。
老健での看護師の仕事内容は、
・入所者の体調管理
・医療、看護ケア(褥瘡の処置や吸引、経管栄養、服薬管理)
です。病院と違って積極的な治療が必要な人はいませんが、褥瘡の処置や吸引、経管栄養、服薬管理など、医療的管理が必要な入所者のケアを行います。
また、入所者の体調を注意深く観察し、異変があるときは医師への相談や病院受診の付き添いもします。必要に応じて入所者の家族に状態を説明したり、退所時に必要なケアを指導したりします。
老健看護師の1日
ここで、老健看護師の1日の流れを紹介します。
朝出勤したら、夜勤をしたスタッフから申し送りを聞きます。その後、バイタルチェックをしながら体調に変化がないか確認します。
必要なタイミングで医療処置を行いつつ、おむつ交換や衣類の着脱など介護業務も行います。場合によっては、レクリエーションなどの行事にも参加します。
夕方まで勤務したら、夜勤をするスタッフに申し送りをして1日の業務が終わります。
老健では夜勤が必ずあるわけではありませんが、ほとんどの施設で実施しています。夜勤がない老健の場合は、看護師がオンコールで対応します。病院と違い、重症の人がほとんどいないので、夜勤は比較的落ち着いています。
ここがツライ!老健看護師の本音
では、実際に老健で働くとどのような点が大変なのでしょうか?
1.看護師として頼られる
老健で働くスタッフは、医師、理学療法士、管理栄養士、介護福祉士など様々ですが、圧倒的に多いのが介護スタッフです。介護スタッフは、全員が介護福祉士などの有資格者でなく、研修を受けただけの人もいます。
そのなかで、国家資格であり医療の知識がある看護師は頼れる存在です。医師よりも身近な存在であることもあり、介護スタッフから医療について質問されたり、入所者の状態について聞かれることも多くあります。
ただ、看護師も医療について全て知っているわけではありません。病院で働いたことのある診療科の病気については答えられても、それ以外は分からないことも多いです。
老健に入所している人の病気は様々なので、自分が分からないことを聞かれることが多いと、負担に感じてしまいます。
2.夜勤で医師がいない
夜間帯、看護師は夜勤かオンコールで対応しますが、医師は常駐していません。つまり、急変があったときには看護師が対応しなければならないのです。
これは、病院経験の少ない看護師や転職したばかりの看護師にはプレッシャーになります。入所者の処置を行いながら、介護スタッフにも指示を出し、その場を乗り切らなくてはなりません。
老健は急変が少ないといいますが、いざというときのことを考えると不安だという看護師も多いです。
3.医療や看護より介護の割合が多い
病院と老健の違いで、一番大きいのが「介護スタッフの仕事も手伝うこと」です。
通常、トイレ介助や移乗介助などは介護スタッフが行いますが、手が足りないときは看護師も行います。こういう場面が続くと、「私は看護師なのに…」と不満に思う人もいます。
また、老健の入所者は病院に比べて医療や看護の必要性が低いので、「看護師としての技術が衰えてしまうのではないか」と心配する人もいます。これは、看護師の仕事に対して誇りをもち、プライドの高い人に多い悩みです。
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意外と気を遣う?介護スタッフとの関わり方
老健看護師が辞めたいと思う理由に、介護スタッフとの関わり方を挙げる人がいます。ここでは、介護スタッフと看護師、それぞれの視点にたって不満を分析してみましょう。
介護スタッフの立場
老健は、介護スタッフの数が一番多いです。なかには何年も勤めているベテランもいます。
看護師は医療や看護の見解から、介護スタッフに注意を促したり教えたりすることがあります。このような場面で、介護スタッフから「偉そう」と思われてしまうのです。
看護師の立場
看護師は国家資格であり、介護スタッフができない医療処置ができることから、介護スタッフより優位に立ちたいと思う人もいるようです。
しかし、実際には介護スタッフから業務のフォローを頼まれることも多く、思うように看護師の仕事ができないので不満に思うことがあります。これは、老健に転職したばかりの看護師や病院でバリバリ働いてきた看護師に多いです。
この問題は、それぞれの職種に対する理解のなさや、老健と病院の違いをしっかり把握できていないことから起こります。
看護師と介護スタッフ、どちらが偉いということはありません。全員が入所者の安全で快適な生活を支えるチームの一員です。
そこで、介護スタッフと協力し円満に働くために、以下のことに注意してみてください。
・介護スタッフに何か伝えるときは、上から目線にならないように気を付ける
・老健と病院の違いを理解し、「老健での看護師の役割」を果たすように努力する
早まらないで!転職する前に考えてほしいこと
不安や不満を解消するために、自分なりに努力をしてみたけれど、やっぱり老健を辞めたい…。そんな看護師さんに、考えてもらいたいことがあります。
なんで老健看護師をやろうと思ったのか?考える
まず、どんな希望があって老健に転職したのか思い出しましょう。
「入所者とゆっくり関わりたい」
「ある程度の給料をもらいながら病院よりもゆったり働きたい」
など、希望があったはずです。
実際に働いてみると、思わぬギャップに戸惑うこともあると思いますが、老健で働く前に思い描いていた働き方はできていますか?
できている人は、不満ばかりに目を向けるのではなく、自分の希望に合った働き方ができていることに注目しましょう。そうすると、老健の仕事が嫌なことばかりでないことに気付くはずです。
老健看護師のやりがいは?医療行為以外にある
老健の仕事にやりがいを感じていない看護師さんは、「医療行為だけが看護師の仕事ではない」ことを再確認しましょう。
保健師助産師看護師法で、看護師の仕事は「診療の補助」と「療養上の世話」と定められています。老健での仕事は、入所者の療養上の世話がメインです。そのため、身体介助の技術が向上できます。
超高齢化社会となり、今後ますます高齢者が増えるので、身体介助の技術が高い看護師さんは活躍の場が広がります。さらに、介護保険制度も学べるので、今後、介護系の仕事に転職する場合にも役立ちます。
このように、老健で働くからこそ学べることがたくさんあるのです。
他の職場も気になるなら、話だけでも聞いてみて
「いまの職場に不満がある…」
「そもそも違う職場(病棟、クリニック)も興味がある」
という場合は、違う職場ものぞいてみてください。今後のキャリアを含めて、看護師専門の転職サイトに相談してみてください。
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働きだしてからミスマッチがなく、聞いてよかった!
という看護師さんもいるんです。
働きやすい職場を見分けるには、病院の内部情報を集めることが大切。
老健での仕事は、病院との違いも多いので戸惑うことも多いかもしれません。しかし、老健に限らずどんな職場にもメリット・デメリットはあります。
老健では、病院に比べて入所者とじっくり関わることができます。急変にビクビクしながら勤務することも少ないです。このように、老健にしかない魅力もたくさんあります。
老健看護師を辞める前に、この記事が参考になれば嬉しいです。