毎年多くの人が看護師の国家資格を得ているのに、よく言われているのは「人手不足」です。
看護系の大学も増えて、資格を持つ人自体は増えているのになぜ?と思いますが、潜在看護師という、資格を持っているのに働いていない人たちが多くいることも事実です。
では潜在看護師はなにをしているのでしょうか?潜在看護師について、気になるアレコレをまとめました。
気になる①潜在看護師になったきっかけは?
わたし自身、出産をきっかけに離職をし、潜在看護師となったのですが、潜在看護師になるきっかけというものは誰にでもあるものです。
では、なぜ潜在看護師になったのか?というきっかけについて、主な離職理由上位3つ(参照:看護職員の現状と推移:厚生労働省調べ)を挙げて説明をしていきます。
<①妊娠・出産のため>
女性の多い看護師はやはりライフステージの変化に伴って離職をする人が増えています。
特に妊娠・出産は働く本人の体の変化が大きいので、看護師のハードワークを考えると続けることが難しくなってしまうこともうなづけます。
さらに、妊娠出産で何の異常もなく進むとは限らないことも、続けるのが難しい理由として挙げられます。主に立ち仕事ですし、シフト制のところが多いので勤務に穴をあけることも出来ない、さらに人も余裕がない・・となると身体にかかる負担は想像以上です。
気持ち的にも、夜勤や体位交換など負担のかかるものが出来ないという制限があると、周りの人に迷惑をかけていると感じながら働き続けるのは厳しいものがあります。
なにせ看護の世界は女の世界でもありますから。
<②自分の健康状態(身体的なもの)のため>
看護師は立ち仕事が多く、部署によっては体位交換やオムツ交換、移乗などの身体に負担の来る業務が日々のルーティンであったり、ベッドサイドや椅子に座っている患者さんへの関わりでは、中腰や立ったり座ったりと言った動作が多くなります。
そうするとシンプルに身体への負担がかかりやすいことがわかります。
さらに、深夜勤務のある不規則勤務では生活リズムが乱れやすいという身体への負担があります。これは目には見えにくいのですが、睡眠障害などの形で出てきやすくなります。
こうした身体の健康上の問題が出てきたら離職という形を取る人が多くなります。
<③自分の健康状態(精神的なもの)>
この項目が三つ目に挙がるあたりが看護師ならではとも思いますが、精神的なもので健康を害す人が多いのも特徴です。
先ほど挙げた不規則勤務では、うまく睡眠のリズムが取れなくて睡眠障害になるだけではなく、睡眠不足の状態で勤務に行くことでミスも増えて落ち込んだり・・・とネガティブの輪が出来てしまいます。
また女の世界と言う軋轢ももちろんありますし、不規則勤務ということはその日その日でメンバーが変わるので当たるメンバーでのストレスもありますし、自分がいないときに何か言われているかも・・・といったストレスもあります。
こうしたストレスで精神的に健康を害することも珍しくないので離職する人も多いです。
他にも他分野への興味が出てきたり、子育てや家事との両立が難しくなったりすることで離職をする人が多く、それらをきっかけに潜在看護師へと進むことが挙げられます。
気になる②どうして潜在看護師になったの?
潜在看護師となるきっかけとして離職理由を挙げていきましたが、あくまでも「離職」です。
では、どうして潜在看護師という道を選ぶのでしょうか。
<自信がない>
離職をするきっかけは様々なですが、たとえばもっと負担の少ない部署に異動をしたり、場合によっては転職をすることも出来ます。
しかし潜在看護師を選ぶという理由の一つに働き続ける自信がないことが挙げられます。
シンプルですが、一度働いたことがあるからこそ、あの過酷な環境で働いていける自信がないと考えることも無理はありません。
特に精神的なもので体調を崩した場合には、「他でも同じようなことになったらどうしよう」という不安はぬぐえません。人間関係は求人要項には書いていませんもんね。
<環境的に難しい>
これは妊娠出産・育児で離職をした人に多いのですが、たとえば保育園に入れないとか働いていた病院に託児所がなかったとか、子供の預け先がなくて働けないという人は多いです。
わたしも預け先がないために潜在看護師の仲間入りをしました。育休を取るという方法もありましたが、妊娠経過でつわりで入院をして、退院をしたら切迫になり、休み続けるのに肩身が狭くて産休・育休を取らずに退職をしました。
他にも部署異動ができる規模でなく離職をするしかないところもあります。
たとえば身体的に健康の問題を抱えた場合に高齢者の施設で勤務をしていたら、部署を変わってもどうしても負荷がかかってしまう業務があったり、夜勤があったりしますもんね。
<看護師として働く気がない>
他分野への興味が出て離職をした場合には、そもそも看護師として働く気はないので当然潜在看護師となります。
他にも看護師という職業に疲れてしまって他の職業を選んだり、育児中であれば専業主婦という形を選ぶ人もいます。
看護師として働いたことがあるからこそ、もう働きたくないとも思ってしまうんですよね。
気になる③潜在看護師はなにをしている?
離職からそのまま潜在看護師となった人たちは何をしているのでしょうか?潜在看護師になったきっかけ・理由から考えていきましょう。
<専業主婦>
妊娠出産・育児で離職をした人は専業主婦となる人がほとんどですね。夫の家業を手伝ったりすることも聞きますが、育児に専念する人が多いです。
また子供が二人、三人と増えていくと、より働くことが難しくなるため専業主婦をするという人も増えていきます。
わたし自身、現在専業主婦の潜在看護師で、子供の幼稚園や小学校のママさんでも潜在看護師がちらほらいます。
<他職種で働いている>
身体や精神的な面で離職をした人でも生活をしていくためには働かないといけませんね。
しかし、看護師を続けていく自信が無かったり、もう看護師として働くつもりがなく、ほかの職種で働く人、また子育て中の主婦がパートで他職種に就くということもあります。
<学生>
改めて学びなおしたいと学校に入りなおす人もいます。これは必ずしも看護系の大学などではなく、全く別分野を学びに行く人もいます。
知り合いにも看護や医療とは離れたことで興味のあるものが出来たので、そちらを学びたいと大学に入りなおした人がいます。
アルバイトも看護から離れたものがいいと看護師ではないアルバイトを選んでいました。他分野への興味が出て離職をした人はこういったケースが多いです。
<海外へ行く>
海外で看護を学ぶというわけではなく、留学という形で海外へ行く人もいます。
看護師時代に貯めたお金で、ギリギリまで海外で生活をするという人や年齢制限のあるワーキングホリデーで行けるうちに行くという人がいて、現地で知り合った人とそのまま結婚という人もいれば帰国をする人もいます。
気になる④潜在看護師からの復帰は難しい?
潜在看護師となって、専業主婦や他職種で働いたり、学生になったり、海外へ行ったりとそれぞれの道を選んでいて、やはり「看護師をしたい」と思う人もいます。
実は看護師として働きたいと考える人は珍しくはないんです。
看護と離れてみて改めて良さが分かった人、お給料的に看護師がいいと感じる人(わたしはこれでした^^;)などなど理由は様々ですが、看護師復帰を考える人はいるんです。
ブランクがあるから潜在看護師からの復帰は難しいかな・・・?と思ってしまう人もいるかもしれませんが、今は「戻れます!」
潜在看護師は約71万人(参照:看護職員の現状と推移:厚生労働省平成24年調べ)いるとされていて、潜在看護師に復帰してもらうことが人手不足解消につながるとしてサポートシステムが整備されてきています。
病院などで復職支援システムを取り入れていたり、看護協会や派遣会社などでは技術や知識に不安がある潜在看護師向けに勉強会なども開かれています。
こうしたシステムを利用していくことで潜在看護師でも復帰をスムーズにしていくことが出来ます。
潜在看護師だけど、もう一度働いてみたいなら
潜在看護師になる理由は様々で、もう看護師なんて嫌だ!と思う人もいるかもしれません。
もう一度働きに出たいと考えているなら、看護協会の勉強会だったり、各病院の潜在看護師向けの研修を利用してみてください。
技術面でもだいぶ違っていますし、まずは練習からできるのは嬉しいですよね。研修や勉強をしてから、ゆったりと働ける職場を探してみてください。
いきなり急性期や夜勤があると、ドッと疲れてしまいますから。
職場を探すときに活用してほしいのが看護師の転職サイト。病院の内部情報を聞けるので、潜在看護師でも働きやすいか?情報収集に役立ててみてください。
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「今、職場を辞めたら人手足りなくて迷惑かけるな…」
「同僚から辞めないでねって言われたんだよね」
と思っていませんか?
ハッキリ言いますが、考えるだけ時間のムダです。
もし、病院側があなたに辞めて欲しくないと思っていたら?
あなたが辞めたいと思わないように、労働環境を改善するはずです。
例えば昇給したり、有給休暇を取りやすくしたり....
残念ですが、あなたが職場を辞めても迷惑はかからないってことですよ。
あまり考えすぎずに自分の働きやすい環境を探してください!
幸い、今は復帰しやすいシステムも整っていますから、もう一度看護師として働きたいと思った時に戻れるということを頭に入れて、潜在看護師の間の経験も大切に過ごしていきたいですね。