在宅で過ごす患者さんが増えていることにより、ニーズが高まっているのが訪問看護です。病院よりも患者さんとじっくり関われるので憧れる看護師もいますが、「訪問看護ってきつい」という声も多く聞かれます。
では、実際にどのようなことがきついと感じるのでしょうか?
また、訪問看護に向いているのはどんな人なのでしょうか?
ここでは、実際に訪問看護をやっていた私の体験をもとに、訪問看護に興味のある人が気になる情報について紹介します。
この記事の内容
・訪問看護の主な仕事内容
・やってみて分かった、訪問看護のきつい点
・訪問看護に向いている人の特徴
訪問看護の仕事内容とは?介護以外にもあるの?
訪問看護は、患者さんが在宅で安心して暮らせるように、自宅に訪問して看護を提供します。病院での入院期間はどんどん短くなっており、在宅で生活する患者さんが増えているので、訪問看護の需要が高まっています。
主な患者さんは、病気や障害を抱えた高齢者です。介護認定を受けていることがほとんどで、他の介護サービス事業者と連携しながら看護を行います。
仕事内容は、
・健康チェック
・排便コントロール
・褥瘡処置
・点滴交換
・吸引
などです。他にも、家族に対する介護指導やフォローも欠かせません。
介護の大部分は、家族が担当しています。そのため、在宅介護では家族の力が重要なので、「正しい方法で介護できているか、困っていることはないか」など確認します。
患者さんが小児から成人期の人の場合、障害や末期がん、特定疾患などを患っていることが多いです。なかには、ターミナルケアが必要な場合もあります。
このように状態が深刻な場合は、普段以上に医師と連携をとりながら訪問します。患者さん本人だけでなく、家族の精神的ケアも大切な役割です。
仕事内容は、患者さんの自宅に訪問する以外に書類作成があります。
訪問看護は、医師の指示書によって行われます。加えて、介護保険を利用している場合にはケアマネジャーが作成したケアプランをもとに訪問します。これらの書類に基づいて、訪問看護計画書を作成し、患者さんがより良い生活ができるように実践・評価していきます。
他には、訪問看護報告書があります。これは、患者さんの状態を医師に報告するものです。医師との連携は直接の報告だけでなく、このような書面でも残します。
訪問看護のやりがいは、患者さんや家族と密に関われることです。様々な相談にのることも多く、感謝してもらえます。また、病院よりも臨機応変な対応が求められるので、より患者さんに合った看護が提供できます。
このように、多くの患者さんから必要とされ、やりがいのある訪問看護ですが、きついこともあります。次の見出しで、詳しく紹介しますね。
訪問看護の仕事できついことってどんなこと?
・年齢や病気など、対象が幅広い
訪問看護を利用する患者さんは、幅広くいます。小児から高齢者まで様々です。また、病気の種類もたくさんあるので、聞いたことのない病名に関わることもあります。
このような状況から、訪問看護を担う人は経験豊富な看護師でなければ務まりません。もちろん、最初は先輩看護師から教えてもらえますが、慣れるまでは不安に感じることも多いです。
・時間を気にしながら訪問する
1件当たりの訪問時間は、20分未満や60分以上など様々です。その限られた時間のなかで、患者さんに必要な看護を行います。
例えば、訪問したら体調が悪化していたり、帰り際に家族から深刻な相談をされたりと、毎回の訪問がすんなり終わるわけではありません。
時間内にするべきことが終わらないというのは病院でも経験があるかもしれませんが、病院よりも訪問看護の方がシビアです。1日に5~6件ほど訪問予定があることも珍しくないので、1件でも時間がズレると後の訪問に響きます。
なかには時間通りに訪問しなければ命に関わるという場合もあるので、常に時間を気にしながら手際よく仕事をする必要があります。
・患者さんや家族との関わり方に気を遣う
訪問看護では、病院に比べて患者さんや家族に対して丁寧に関わる必要があります。それは、患者さんの生活の場にお邪魔するからです。
病院では、起床時間や食事時間、治療のスケジュールなど、全て病院側が決めますよね。しかし、在宅では患者さんの生活が第一優先です。患者さんの生活リズムに合わせて看護をしていきます。
また、コミュニケーションスキルも重要視されます。訪問看護ステーションはいくつもあるので、患者さんや家族が気に入らないと言えば契約解除になります。挨拶や言葉遣いだけでなく、処置の丁寧さも患者さんや家族はよく見ています。
訪問看護師として信頼されるためには、知識や技術に加えて「人として信頼できるかどうか」も大切な要素です。
訪問看護の宿命?きついオンコールの実態
オンコールとは、夜間や休日に自宅で待機し、電話で呼び出しがあったときにのみ訪問するシステムのことです。
訪問看護ステーションによっては、24時間体制でない場合もあります。しかし、どんな患者さんにも対応できるように、24時間体制をとっていることがほとんどです。
24時間体制でサービスを利用するためには、事前に患者さんと契約を交わします。
オンコールで対応するのは、急変ということが少なくありません。患者さんの病気や治療内容をあらかじめ把握したうえで、そのときの情報から瞬時にアセスメントする必要があります。緊急時の対応を確認し、必要なときには医師への連絡も行います。
オンコール当番の頻度や回数は、その訪問看護ステーションによって異なります。少人数で回している訪問看護ステーションの場合、回数が多くなりやすいです。
さらに、オンコールで対応中に別の患者さんからオンコールが鳴る可能性もあります。このようなときに、オンコール当番は自分だけとなると、負担は倍増します。
オンコールは、休みの日でも外出を控えたり、入浴中脱衣所にも携帯電話を持ちこんだりと、気が休まりません。訪問看護未経験の人や、プライベートを大切にして働きたい人は、オンコール体制がどのようになっているのか確認しましょう。
訪問看護に転職したい!向いているのはこんな人
・患者さんや家族とじっくり関わりたい人
病院では同時に何人も受け持つので、常に他の患者さんのことも考えながら動きます。一方、訪問看護では目の前の患者さんだけに意識を向けるのでじっくり関われます。
さらに、患者さんの生活スタイルや考え方を把握したうえで看護を提供するので、病院よりも患者さんの生活に密着することが多いです。患者さんのニーズを把握し、患者さんのために何ができるのかしっかり考えられる人が訪問看護に向いています。
・経験豊富で、さらに様々な症例を経験したい人
患者さんの年齢や病気が様々なので、病棟経験が豊富であることが求められます。訪問看護ステーションにもよりますが、働くためには病棟経験3年以上などの条件があります。
訪問看護では、様々な状況にある患者さんと関わるので、たくさんの学びを得てスキルアップできます。さらに、介護保険や医療保険などの社会保障制度について勉強できるので、後の仕事にも役立ちます。
・臨機応変に対応できる人
在宅では、病院に比べて設備や物品が整っていないので、そこにあるもので代用することも少なくありません。さらに、訪問するときは自分1人ということがほとんどで、相談できる医師や看護師が近くにいません。
慌てることなく、その場で的確な判断をする必要があるため、臨機応変に対応できる人が求められます。
訪問看護はきついだけじゃない!働きやすい職場を探す方法
訪問看護は「きつい」面だけが取り上げられがちですが、それ以上のやりがいもあります。
実際のところ、オンコールなどはきついですが、職場の人数が少ないときついというだけなんです。ですから、一概に全ての職場がきついとは言えません。
看護師を大切にしてくれる職場を選べば、訪問看護を選んでよかったと思えますよ。
ただ、訪問看護は人手が足りない職場が多いです。ですので、事前に情報も調べずお給料や求人情報だけで選んでしまっては、つらい思いをすることになります。
面接をする前に、職場内の人間関係や看護師への対応(無理な働き方をさせてないか?)などをリサーチしてください!
私も実際に、入職する前に入念なリサーチを行いました。口コミを見たり、転職サイトで情報を聞いたりして、見た目(求人情報)は良いけど、実際はブラックな職場も結構あって、入らなくてよかった・・・なんてこともありました。
ネット上の口コミだけだと、ウソの場合も結構ありますから、転職サイトの口コミも合わせて使ってみてください。担当者が教えてくれるので、ネット上よりは明らかに信頼できます。
さらに、入職前に職場見学もさせてもらえました。自分の目で現場を見て、話を聞けたので安心して働き始められましたよ。
転職サイトはたくさんありますが、中でも、深夜でも連絡が取れ、病院の内部情報に詳しいことで評判なサイトがあります。
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「今、職場を辞めたら人手足りなくて迷惑かけるな…」
「同僚から辞めないでねって言われたんだよね」
と思っていませんか?
ハッキリ言いますが、考えるだけ時間のムダです。
もし、病院側があなたに辞めて欲しくないと思っていたら?
あなたが辞めたいと思わないように、労働環境を改善するはずです。
例えば昇給したり、有給休暇を取りやすくしたり....
残念ですが、あなたが職場を辞めても迷惑はかからないってことですよ。
あまり考えすぎずに自分の働きやすい環境を探してください!
患者さんとの丁寧な関わり方や臨機応変な対応などが求められる訪問看護。病院と違う点もたくさんあるので、初めは戸惑うかもしれません。しかし、「患者さんに寄り添う」という看護の魅力が存分に感じれる職業でもあります。
訪問看護に興味のある人は、ぜひ参考にしてください。
《この記事を書いた人》
看護師歴7年のひとみです。自分のライフスタイルに合わせ、看護師としての働き方を変えてきました。
転職、派遣、パートなど色々やった体験を、ここではお伝えします!