細かい数字。
積み重なる伝票や領収書類。
それらをひたすら入力、ファイリングし、1円単位の正確さが求められる…。
経理の仕事って、想像しただけでも息が詰まりそうですね。
一日中座って、ここまで神経を使う仕事だと、「私には無理」とか「つらい」、「辞めたい」と感じてしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、経理の仕事の「向き不向き」や、「仕事を辞めたい時に考えること」、「転職先」などをご紹介します。
経理の仕事に「向いているタイプ」、「向いていないタイプ」ってどんな人?
経理の仕事に向いているタイプは?
・集中力がある
・細かい作業やルーティンワークが苦にならない
・計算や数字が得意
・整理整頓が好き
・辻褄が合わない理由を突き詰めて考えられる
・法律などの勉強が好き
経理の仕事に向いていないタイプは?
・デスクワークが苦手
・おおざっぱな性格で、細かいことを気にしない
・気が散りやすい
・人とコミュニケーションを取ることがあまり得意ではない
見事に向き不向きがはっきり出ましたね。
経理は数字を合わせることが基本の仕事です。
誤差をそのままにしておくような仕事をしていると周囲からの指摘が入ります。
ミスが続くと上司の当たりもきつくなるので、居づらくなってしまいます。
だからといって、間違えてしまったことを上司に報告しないでいると、もっと大変なことになってしまいます。
経理の仕事って、間違っている点を指摘したり、指示を仰いだり、解決法を提案するなどのコミュニケーション能力が求められる仕事でもあるのです。
寡黙に入力すればいいと考えている方にとっては、つらい仕事かもしれませんね。
経理に向いていない人が、経理の仕事を選んでしまう理由は?
中には、「自分は経理の仕事に向いていない」と思っているのに、経理の仕事を選んでしまう方もいます。
どうして、あえて経理を選んでしまうのでしょう。
・簿記資格を持っているから
・どの会社でもニーズのある職種だから
・商業科や商学部など、経済商業系の学校出身だから
・もし、転職する時に有利になりそうだから
などです。
経理の仕事が好きかどうかではなく、これまでの成り行きで選んでしまう人って意外に多いのかもしれません。
経理の仕事を辞めたい時に考えることは?
経理の仕事が苦痛!
そう思っても、即断で辞めてしまうことはオススメしません。
経理の仕事を辞めたい理由を突き詰めてみる
経理に向いていないと感じて、仕事を続けていくことがつらいのならば、「なぜつらいのか?」をよく考えてみましょう。
・毎日、代わり映えのしない仕事が面白くないから?
・お金や数字を扱うプレッシャーが大きいから?
・細かい作業に向いていないから?
何が一番つらいのかを、自分なりに抽出してみてください。
自分自身で目星をつける他にも、「周囲の人に聞いてみる」という方法もあります。
上司や同僚に聞いてみると、実は向いていないと感じていたのは自分だけだったという場合もあります。
知識不足が原因ならば、勉強しよう
経理の仕事は、税法や会計ルールなどの知識が求められます。
仕事でミスをしたり、ついていけなかった原因が、知識不足にあるのならば勉強しましょう。
経理にまつわる法律やルールは、時代とともに変化します。
気が付いたら変わっていたという事もよくあるので、知識を常に上書きする癖をつけておかなければなりません。
税法などのHowTo本を読むだけでも知識を得ることはできるのですから、大げさに考えなくてもいいんですよ。
ここで勉強し続けることが苦でないならば、経理の仕事を辞めてしまう必要はないでしょう。
自分に向いている部署はないかを探してみる
経理の仕事が向いていないから、転職したいと考えているのはあなただけではありません。
辞める前に、もう一度社内を見渡してみてください。
自分の興味がある分野の仕事はありませんか?
この組織ならば頑張れそうだ、という部署はありませんか?
経理には向いていなくても、他の仕事であなたの能力を発揮できる場所が社内にあるのならば、無理に転職活動をしなくてもいいんですよ。
全く未経験の事でも、知っている人に囲まれて始めるのならば、負担は軽くなります。
しかも部署異動は、珍しい事ではありません。
会社によっては、敢えて2、3年で新しい部署に配置転換を行って、グローバルな経験を積ませている所もあります。
経理以外に配属してもらえないか?上司や人事に相談してみましょう。
経理経験者がよく選ぶ転職先は?
もし経理がつらい理由を突き詰めて考えて、今の会社で解決できないと感じたのならば、「転職」を視野に入れて考えてみましょう。
経理経験者によく選ばれる転職先の例をいくつか挙げてみます。
これらからあなたの興味のある分野や働き方を探ってみてはいかがでしょうか。
まずは、経理の知識を活かせる仕事から見てみましょう。
財務部門
経理経験者から人気の転職先として挙げられるのが、「財務部門」です。
特に大手の財務部門に転職したいと考える方が多いです。
財務部門の主な仕事内容は、
・損益計算書(PL)、貸借対照表(BS)、財務諸表の作成
・銀行対応
・(上場企業の場合は、)IR
などです。
経理部や役員とも連携して、業務を進めていくことになります。
大企業の場合は、業務内容によって部署が細かく分かれている場合もあります。
財務の中枢で業務を行える経験をすることで、各部門のスペシャリストとしてのキャリアを築くことができます。
そして何より、財務部門を有する会社は大企業がほとんどです。
安定感や高給に加えて、福利厚生も充実しているというメリットがあります。
経理、財務全般を任される会社
どちらかというと、幅広い分野で活躍したいと考えているのならば、「経理と財務を全般的に任せてもらえる会社」に転職するという方法もあります。
特に小規模の会社の場合、総務や人事の仕事なども引き受けていることがあります。
他の作業も入るので、適時動きながら仕事をこなすことになります。
ルーティンワークが苦手な方には、1日の中で色々な仕事が経験できる方が良いという方もいます。
大手の財務部門と違って、こちらはゼネラリストになりたい方向きの働き方と言えるでしょう。
小規模の会社でも、ビジネスモデルによっては上場できる会社もあります。
もしかすると、上場前準備という貴重な経験ができるかもしれませんね。
会計事務所や税理士事務所
経理の知識や経験を活かせる職場として、「会計事務所」や「税理士事務所」を選ぶ、元経理もたくさんいます。
「えっ、また経理?」と思うかもしれませんが、税理士事務所などの仕事はちょっと違います。
主な仕事を見てみると、
・月次決算
・報告書作成
・決算
・年末調整
・領収書整理
・会計ソフトへの入力
一般企業でもルーティンになっている仕事もあります。
これ以外にも、
・起業手続きの代行
・経営戦略支援
・税務申告
・相続、税務調査対策
といった、コンサルティング的な業務が含まれているのです。
クライアントの事務所に出向いて、節税などを指南するのも立派な仕事です。
社外の人と話す仕事なので、1日中デスクや会話のない環境が苦手だった方には向いている働き方かもしれませんね。
会計コンサルティング
税理士事務所が扱う案件よりも、もっと大きな仕事がしたい方は「会計コンサルティング」という働き方もあります。
デロイトトーマツコンサルティング、日本IBM、プライスウォーターハウスクーパースといった社名を聞いたことはありませんか?
いずれも大手の会計コンサルティング会社です。
扱う金額や規模が大きくなるので大変ですが、その分実入りも良いです。
若手でも1000万円を超える年収を手にしている働き方です。
起業する
経理の経験や知識を活かして、起業するというケースもあります。
ただし、完全に独立した形で起業するには、ノウハウだったり、その他の資源が必要となります。
ですので、「フランチャイズ」に加盟するといった形態を取る方が多いです。
そうすれば、集客や実際のオペレーションノウハウを活用することができ、経営リスクが少なく見積もることができます。
実は、経理の分かるフランチャイズオーナーは、成功しやすい傾向にあると言われています。
経営状態や資金繰りを自分で把握管理することが、成功のカギだからです。
参入が多いフランチャイズの種類は、
・飲食店
・教育系
・介護
・コンビニ
などです。
経営状況によっては、会社員時代よりもずっと収入がアップします。
会計システムのベンダー
経理の実務で必須な物は、「会計ソフト」ではないでしょうか。
弥生、勘定奉行、マネーフォワード、SAPなど、様々な会計ソフトやベンダーがあります。
今や、会計ソフトなくしては始まらないと言えるほど、会計システムは世の中に定着しまいた。
ただ、使っていて、「ここ、もっと便利にならないかな?」と思ったことはありませんか?
会計システムの開発ベンダーでは、経理経験者の生の声を求めているのです。
経理担当者や会計事務所に選ばれるためには、効率の良いシステムになる必要があります。
ユーザーの声をシステムに反映させるために、システムベンダーでは元経理の「エンジニア」だったり、「営業」だったり、「カスタマーサポート」のニーズがあるのです。
年齢によっては、エンジニアの経験や知識がなくても、経理の経験だけで採用される場合もあります。
経理の知識を活かせると一口に言っても、様々な働き方があるのですね。
次は、経理の仕事から離れたい方が選びやすい転職先をご紹介します。
営業
外回り、内勤と様々ですが、「営業」職に転職される経理経験者も多いです。
なぜなら、営業の仕事は「対企業」であることが多いから。
企業向けに提案をしていく上で、避けて通れないことは「数字で示す」という事です。
いわゆる経営層は、数字に敏感です。
製薬が取れるかどうかは、自社製品やサービスを利用するメリットをいかに数字で表して提案できるか?に掛かっています。
経理経験者は、経営層が気になっている数字はどれか?ということを経験的に知っています。
その分、効果的なプレゼンを行えることにつながります。
「数字に強い」、「数字を有効に扱える」といったスキルを活かして、営業として成功できるかもしれませんね。
企画業務
営業職でも触れましたが、経理経験者の強みは「数字が読める」という事です。
さらにコスト意識も高いので、これらを活かして「企画業務」を担う仕事に転職する方もいます。
企画の仕事では、
・市場分析
・損益分岐点の算出
・コスト予想、管理
・シュミレーション
といった作業が発生します。
企画の仕事は内容もですが、いかに収益を上げることができる作りにするのか?ということも求められます。
企画の内容自体を考えることは難しいのでは?と考える人も、「コスト面を考える企画職」であれば活躍できそうな気がしませんか。
転職を成功させるには、自分のパーソナリティーを知ろう
日々のルーティンワークや決算前の殺人的な忙しさがつらすぎて、経理の仕事を「辞めたい」と思っても無理はありません。
「辞めたい」のならば、次はどんなことをしたらいいかを考えていかなければなりません。
どうしたらいいか?迷っている間も、あなたの心や身体はどんどん疲弊して言っているのですから。
性格にもよりますが、経理の仕事が嫌だと感じている方の中には、ルーティンワークやデスクワークの少ない職に就いた方が良いケースもあります。
「自分にはどんな働き方が向いているのか?」を知ることから転職活動を始めてみましょう。
そうなると次第に「どんな仕事に転職できる可能性があるのか?」や「どんなことから転職活動を始めたらいいか?」といったことが知りたくなると思います。
自分の市場価値や強み、民間企業への転職の仕方を知りたいのならば、転職希望者と人材を探している企業を結び付ける「転職エージェント」と呼ばれる会社に相談してみるといいです。
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経理は会社のお金に直結する仕事ゆえに、精神的な負担が重くなりやすい要素が揃っている職種です。
適性がないと感じながら続けていくことってつらいですし、ストレスが原因で病気やうつ病になってしまう可能性もあります。
経理の知識は様々な分野で活用が可能です。
「自分は経理しかできない」なんて思いこまずに、世界を広げてみませんか。